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柘榴の花

最果てに物言わぬ残骸でも
 手向く思慕は糜爛の花びら
 得も言われぬ香しき現世を
 あの世になどと遣るものか

蝶よ花よと見よう見まねで 嫌よ嫌よも好きのうちだと
 手ぐすねを引く手に束の飴 まじないを唱えては花の雨
 身を滅ぼすほど下さいなと 薄皮一枚剥いでしまえよと
 味のない紅を舌舐めずりで 身が震えるような舌三寸で
 一服するように頬張る愛憎 添遂げるように頬染む純情
 麻を絹と褒めそやす声音が 石を玉と撫で上げる所作が
 所在なさげに揺らごうとも 有象無象の代わりとしても
 手遊みに興じる今こそ生命 手遊みに殉じる今こそ生命